お釜(蔵王刈田岳)征服

お釜を知らない人は,オカマを連想してしまうのではと心配ですが,最初に見たとき(1979年)は物凄く感動しました。その魅力に取りつかれ,何度と無く自転車で訪れました。1980年6月22日(日)のレポートを公開します。米沢−上山−(エコーライン−ハイライン)−お釜(標高1700m)−上山−米沢の、148km初夏で暑い日だったが、雪と戯れることができた

お釜をバックに,足元には初夏なのに雪が残る高山植物(駒草だと思いこんでいた,正解は?)別の時に撮ったもの(セルフタイマーで)友人とも行った


7:00:夜更かしで寝坊

目覚めると体中に鳥肌がたっていた。遅くまで飲んでいたせいか,アルコールが体内にかなり残っている。窓を開けたまま,タンクトップと短パン姿でカーペットにひっくりかえって寝てしまっていた。甲斐バンドのテープがオート・リバースでかかりっぱなしだったようだ。今日は,西沢さん(自転車屋さん)達と,小国方面に行く予定だったのに,集合時間を1時間も過ぎている。慌てて,待ち合わせ場所に行くが,誰もいない。どうしたものかと思ううちに,お釜のことが思い出され,急遽,お釜に行くことにした。

7:30:米沢発、左折車にヒヤリ

米沢発。長丁場なので最初はゆったりしたペースで走るが,甲斐バンドの「タッチ」のリズムが体に残っていて,軽快なペダリングでスピードが上がる。大型トラックの巻き起こす風も今日は気持ちいい。対向車線を走る娘のスカートが風になびき,思わず目を奪われる。と,その時,前のファミリアが方向指示も出さずに左折してきた。急ブレーキ,ドリフト走行,車の側面と今にも接触しそうな感覚でスリップしながら一緒に左折,事無きをえた。ヒヤリ。国道13号線,赤湯を越えると,少し長目の上りがある。ドライブインで休憩しようと考えていたのだが,一気に上ってしまう。後ろを振り返ると,赤湯盆地の田の緑,山肌の葡萄畑,白竜湖に浮かぶ青い小船,真っ青な空,ぽっかり浮かぶ白い雲と爽快。坂を上りきれば,上山まではなだらかな下りだ。35km/h位のペースで走る。上山市内で菓子パン3個を買う。

8:45:上山着上山市のHomePageはこちら

上山ドライブイン着。13号線から右折,15分ほど休憩。ここからは,だらだら上る。先ほどまでの軽快なペダリングは消えうせ,だれる。暑さで軟化したアスファルトがタイヤにまとわりつく感じで抵抗が大きい。最初からギヤを落とし,40T×19Tを使用する始末。陽射しはますます強くなってくるし,悪夢の上りで,汗はだらだらと流れ落ちる。全く元気なし。勾配がきついところは,S字走行をしようかと思うが,日曜日なので車が多く,ままならない。不思議な位力が出ない。小刻みに休憩と取りながら必死で上る。

9:45:エコーライン入口到着標高709.65m)。

ジュースでのどをうるおす。10分ほど休憩。「自転車だ〜!」と,見たまんまの言葉を発して驚く人もいる。まだ序の口。これからが,大変なんだけどね。あいかわらずの上りと暑さなのだが,慣れてきたせいか,気分的に少し楽になる。ふんばりがきくようになる。そんなに休憩しないで走れる(ここに限らず,平地から上りに入った時はいつも苦しく,走っていると「慣れる」という表現がピッタリなのだが,走れるようになってくるものなのだ)。

10:20:料金所着標高1010.4m)。

昨年はゲートを通過したのだが,今回は迂回して,料金箱に自分で金を入れる。\60とあったのだが,細かな金が\50しかないので,\50いれた(すみません)。下界はミニチュア模型のようだ。10分ほど休憩して出発。とにかく,走っても走っても,次から次へと坂が出現する。気長に確実にこなしていくしかない。坊平スキー場を過ぎたあたりから,木々の背丈が低くなってくる。1〜3月頃は,樹氷原となるのだろう。いつしか気温も低くなってきた。涼しい。それにしても今日は車が多い。切れ目無く,やって来るかんじだ。皆,窓をあけて,手を振ったり,声をかけてくれたりする。

11:10:エコーラインの最高点標高1610m)。

付近の休憩所着。ここまでで,山形県側のエコーライン14.06kmを走破。しばし走って,ハイラインに入る。自転車は無料だ。所々に残雪が残る

11:30:県営レストハウス着標高1700m超)。

今日は、ガスもなく、くっきりとその姿を見せている(最初見た時は、一面ガスでお釜どころか数十メートル先も見えない位だった。しかし、しばし時間がたって、ガスの切れ間からうっすらとお釜が出現したときは、その神秘的な姿にいたく感動した)。ガスの中にぼんやり見えた時の方が、感動が大きい。雪の残る斜面に降りていく。しばし雪と戯れる。レストハウスで買った缶ビールを雪の中に埋め冷やす。雪で冷やしたビールは格別だった。雪があるのは、一部の斜面で、あとは、地肌に高山植物が咲いていた。白、黄色、桃色など、花の名前は全くわからない。雪の上で遊んでいると、つられて、親子連れが降りてきた。小さな女の子曰く「自転車に乗って雪の中、下まで降りていかないの?」怖いことをいう。下は、断崖じゃ。その親子は、自分の自転車をバックに記念写真を撮って満足そうだった。

お釜のコバルトブルーの水面は、陽の加減や様々な要因で、色が変わる。五色沼とも呼ばれている。周囲1km位で、水深は25〜40m位だったと記憶(怪しい)。魚とかは生息していないと聞いた気がする。酸性なのかもしれない。この辺の話は、記憶の片隅をたどっているので、かなり怪しいです。

12:45:一気に下るのが快感

お釜をあとにして、下る。ヘアピンカーブの連続。一気に下る。ブレーキワイヤーが切れたりしたら、コーナーに砂が浮いていたらと考えると結構恐ろしい。そうした考えが、より快感を高めてくれる。

13:40:下界は暑い

上山ドライブイン着。下界は暑い。本当に暑い。つい50分ほど前には、雪の中にいたのに。うそのようだ。ブレーキをかけていたのとコーナリングの連続で、腕・手が痛い。

15:30:米沢着

米沢着。西沢さんのところに顔を出す。遅れたことを詫びると、彼らも都合がつかず、小国には行かなかったそうだ。ジュースとアイスをごちそうになる。


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